Spheres by Kinnasand

私たちは日々動き回っています ― 歩いたり、自転車や車に乗ったり、飛行機で遠くへ行ったり。自然や居住空間を見つめる視点、そしてスピードが刻々と変化する中、私たちが世界に注ぐ視線は、視覚、知性、感情のレベルで常に変わり続けて
います。


KinnasandによるSpheresコレクションは、こういった変化をカーテンやラグという有形物で印象付け、表現しています。重要な役割を果たしているのが耕地を思わせるモチーフ。人間が作り出した風景を、質感や質量へと変容させながら、織りや色が生み出す多面的な構造が地形の様々な表情を彷彿とさせます。

 

視点の変化という概念をテーマにしたSpheres は、マクロからミクロへと変化していきます。コントラストを効かせた密度、トーン、有機的な形状は上空から見渡す広大な草原を想起させます。大地に降り立てば、土壌のミクロ構造、陰影、ディテールを思わせる緻密な素材が広がります。

 

並べて対比させた、天然素材と人工素材は洗練された印象を残し、人間と自然の相互的な営みをさらに反映します。リネン、ウール、コットンが感覚に訴える空気をはらむ一方、難燃性の糸などの構造的な要素は文化を表現します。

 

Spheresで多用されている対照性は、カラースキームでも展開され、アース&ミネラルトーンと大胆で鮮やかな色を調和します。コレクションのテキスタイル表面の構造やフィニッシュの間に、こういった対照性が親密な対話を生み出しています。


空気、水、風、光という、人間の知覚を形作る事象もまた、さまざまな側面から追求されています。他のデザインでも、動きが視覚的認識を形成する様子を捉えるなど、文明や場面の痕跡が感じられます。